治療案内 予防歯科(大人)

予防歯科とは?

日本人の平均歯の喪失本数をご存知でしょうか?
50歳まで日本人の平均喪失本数(失った歯の本数)は1.8本です。100歳まででは倍の3.6本なくなるのでしょうか?実際は65歳までで17.6本の歯を喪失しています。これは状態の悪い人の話ではありません。日本人の平均でのお話です。つまり、これを読んでいるあなたも、平均通りで行けば65歳で残っている歯は10本くらいということになります。

これの原因は、

  1. 歯周病が20代後半から徐々に進行し、40代後半くらいから歯を失うほどに症状が出てくること
    →症状が出てから改善しようとしても20年以上をかけて吸収した歯を支える骨を戻すことができない
  2. 歯を失うごとに残った歯にかかる負荷は増大していくため、歯の動揺(ぐらつき)が増幅されたり、過度な力により歯の破折などが起こること
    →1.と同じく時間とともに歯の数が減少し、負荷が増大するため急激に悪化しやすくなる
  3. 加齢や疾病により腕がうまく動かない、唾液が減少する、糖尿病などリスク因子が増加すること

などがあげられます。

僕自身患者さんから「年取ったからしょうがないよね」という言葉を聞く機会はままあります。
しかしながら、歯科医療先進国であるスウェーデン同年代での平均喪失本数は1.8本です。
この違いは何でしょう?

大きな違いは、
  1. スウェーデンでは定期的なメンテナンスでの歯科医院来院を行っている方が人口の90%を占めます。日本のメンテナンス率は近年上昇したとはいえ14%です。
  2. フッ素歯磨きやフッ素うがい、フロス、歯間ブラシなどの口腔ケア用品の購入額は、日本はスウェーデンの6割程度で、歯ブラシ単品でのセルフケアを行っている方が多いことです。
  3. 歯科医院サイドでも、スウェーデンのメンテナンス(病気の進行をとめ、健康な状態を保つための指導を行う)に対して、日本では検診(その時に悪くなっている部分を治す)という違いがあります。
などがあげられます。

歯を抜かないために、歯科医院での定期的なメンテナンス(健康な状態を保つための指導)とセルフケアの重要性がお分かりいただけるでしょうか?

予防歯科では、「歯科疾患の9割を占める虫歯・歯周病の原因は細菌(プラーク)であり、プラークコントロールによりほとんどの疾患は防げる」ことがわかっています。つまり、セルフケア(家庭での歯磨き)が完璧であれば病気になることはありません。歯科医院で行うことはセルフケアできれいにできるように磨けない部分の歯並びや虫歯、歯周病を治療すること、治療した分を健康に保つためにセルフケアのポイントを伝えること、それでも磨けない部分をメンテナンスでカバーすることです。

しかし、いきなりセルフケアを頑張りましょうといわれても、どこが問題なのかはわかりにくいです。
歯科医院で一番よく聞く言葉の一つは「歯磨きをきちんとしていたのに虫歯になってしまった」でしょう。
予防歯科の仕事は、虫歯や歯周病の原因であるプラークを除去し、歯石が付かないようにするために患者さんに合ったブラッシングを伝え、その人に足りない部分をたして、無理なく毎日のセルフケアを行えるようにすることです。

とはいっても久しぶりに歯科医院を訪れた方には、セルフケアでは取りきれない歯石がついてしまっていることがほとんどです。
まず、歯周病の検査と虫歯の検査を行い、虫歯の治療と自分では取りきれない歯石や歯の表面のバイオフィルムを除去し、必要があれば外科処置を行って歯磨きしやすい環境を作り、それからセルフケアを行うことになります。 akiru-dc_168.JPG

予防の流れ

【1】初診

all_flow.png 歯周病の状態の検査 レントゲンと視診による虫歯の検査と骨の状態の診断。

【2】歯石・バイオフィルムの除去

all_flow.png 歯石・バイオフィルムの除去

【3】歯磨き指導

all_flow.png 染め出しにより歯磨きの届かない部分の把握してもらう。 軽度なら10日ほどで改善。

【4】治療

all_flow.png 虫歯や歯の傾斜、歯周病の進行によりブラシの届かない部分などセルフケアができない部分の問題の解決。 (一般的な歯の治療)

【5】再検査

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【6】定期的なメンテンンス

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CAMBRA 新時代の予防歯科システム 始めました

「CAMBRA」(キャンブラ)とは
予防歯科の発達するアメリカで生まれたう蝕(虫歯)予防法で「リスク評価に基づくう蝕(虫歯)管理」を意味しています。
全米歯科大学65校中40校が採用した世界基準のう蝕(虫歯)管理法です。

専用の質問票と問診、視診により、個人個人の「虫歯を起こす力」(リスク因子)と「虫歯を防ぐ力」(防御因子)のバランスがどの状態であるかを評価することで、今のリスク判定に応じたオーラルケアを教えてくれる予防システムです。

CAMBRAの流れ

・アンケートの記入
生活習慣、オーラルケアグッズの使用、食生活等を把握するためにアンケートにご記入いただきます。
・問診
アンケートをもとに現在の食生活や、虫歯の治療の既往を確認いたします。
・口腔内検査
お口の中の実際の状態を確認し、虫歯の有無、磨きのこしある部位、唾液の量、細菌の量を測定します。

結果
ローリスク、ミドルリスク、ハイリスク、エクストリームハイリスクの4段階の評価をおこない、5歳以下、6歳以上年齢別にリスクの高さに合わせた対応の方法をお話していきます。

CAMBRAは唾液検査の3240円以外は保険治療でできる歯科医院でのプロフェッショナルケアと、ホームケアになっており、お子さんの歯に虫歯を作りたくない方、きちんとケアしているつもりだけど不安な方、虫歯ができて苦労したのでしっかりした予防を行いたい方などにお勧めです。

5歳以下の対応例

  ホームケア プロフェッショナルケア
ローリスク - 初診時のみ唾液検査 
6か月に一度の再評価(検診)
2年に一度のレントゲン撮影
ミドルリスク 1日2回のフッ素歯磨き
キシリトールタブレットの服用回2粒1日4回
フッ素洗口(3歳以上)
保護者のキシリトールガム1回2錠を1日4回
上記+深い裂溝のシーラント
歯科医院でのフッ素塗布
唾液検査推奨
フジ9での修復
ハイリスク 1日2回のフッ素・リン酸カルシウム歯磨き (クリンプロ)
キシリトールタブレットの服用1回2粒1日4回
フッ素洗口(3歳以上)
保護者のキシリトールガム1回2錠を1日4回
保護者 コンクールうがい
唾液検査必須
1年に一度のレントゲン撮影
CHXペースト歯磨き
歯科医院でのフッ素塗布・シーラント
フジ9での修復
3か月に一度の再評価(検診)
エクストリーム
ハイリスク
上記と同じ 上記+現在のう蝕のフジ9処置
自己管理の目標設定

6歳以上の対応例

  ホームケア プロフェッショナルケア
ローリスク 1日2回のフッ素歯磨き 
CHXペースト  
初診時のみ唾液検査 
1年に一度の再評価(検診)
2年に一度のレントゲン撮影
ミドルリスク 1日2回のフッ素歯磨き(CHXペースト)
キシリトールガム
1回2錠を1日4回
フッ素洗口1日1回
上記+深い裂溝のシーラント
ハイリスク 1日2回のフッ素歯磨き(クリンプロ) 
フッ素洗口1日2回
キシリトールガム1回2錠を1日4回
コンクールうがい10ml 1日2回1分間(就寝)
唾液検査必須
1年に一度のレントゲン撮影
CHXペースト歯磨き
歯科医院でのフッ素塗布・シーラント
6か月に一度の再評価(検診)
エクストリーム
ハイリスク
上記+重曹洗口ピュリフレッシュドスリカルケア 上記+3か月に一度の検診
歯科医院の予防の最終目標は「セルフケアで良い状態を保てるようになること」です。

もちろん、見落としや、気が付かないところ、しばらく時間がたってモチベーションが下がってしまった時などにそれをお助けするのが歯科医院の役目なので定期的な受診をお願いしています。

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