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歯医者が教える「歯を削らない方が歯が長持ちする」の本当と嘘

◆歯を削らない方が歯は長持ちする?

こんにちは、あきる歯科の濱窪です。

「歯を削るとはの寿命が短くなるんでしょう?」という質問は、結構な頻度で患者さんから問われます。
みなさんいろいろなメディアで知識を得ていますので、歯の健康への興味が大きくなっていることは非常に喜ばしい事です。
さて、この質問への回答は、基本的に「YES!!」なのですが、いくつか例外があります。

◆歯を削ると寿命が短くなる理由

まず、何故歯を削ると歯の寿命が縮まるのかですが
①詰め物、被せ物の場合 詰めたものと歯の間から虫歯になりやすくなる
 
初めから一つの塊である歯と違い、被せたもの・詰めたものは接着剤でくっつけています。接着剤は経年劣化しますので
劣化してはがれた部分や、接着剤が流れてすきまになった部分に汚れがたまると虫歯になります。
また、型取りをしてる食っている歯もミクロのレベルでは段差があります。そこについた汚れから虫歯になってしまうこともあります。
被せ物の平均寿命が7~9年くらいといわれていますので、それくらいでまた虫歯になってしまっている可能性があるということです。

②神経の治療の場合 内側から歯を削っているので歯の厚みが薄くなり割れる原因になる

虫歯が深く神経の治療を行う場合、歯の中を通る神経の管にばい菌や腐敗した神経の残骸を残すとあごの骨に膿がたまる原因になります。そこで、神経の管になる細かな凹凸に汚れが残らないように内側から凹凸がなくなるように削っていく治療が必要になります。長い期間虫歯になっていた場合などは、内側からばい菌が歯の中にしみ込んでいますので、ばい菌の入り込んだ歯ごとこそげ落とすことになります。

そうして内側から削られた歯は、自然な、神経が通っていた時よりも薄くなります。今年の4月からファイバーの土台も保険で使えるようになりましたが、歯よりも硬い金属の土台がその中に入った場合、金属の固さに歯が負けてしまい割れてしまうことがあります。

基本的には歯を削らない方が、歯の寿命は長持ちするというのはこういう理由からです。

◆歯を削った方がいい場合って?

そうするとどんな場合でも歯を削らない方がいいのではないか?ということになりますが、そもそも歯を削るのは虫歯や神経の炎症が起きているのが理由です。神経にばい菌が入っている場合や虫歯ができている場合は治療のために歯を削らないと、我慢していてもどんどん悪化して治療が苦しく、難しくなっていくだけです。歯を削った方がいいというわけではありませんがこの場合は削らなければ治療ができませんので仕方ないということになります。

歯を削らないことにこだわりすぎて、病気の歯を放置することを希望する事がありますが、これは後で治療を行った場合より大きく歯を削ることになるか、最悪歯を失うことになりますのでお勧めできません。「絶対に歯は削らない方がいい!」と思いこまないようにしてください。タイトルの「歯を削らない方が歯が長持ちする」が嘘になる場合はこの場合です。

また、歯の色合いや形態が気になる場合、歯の生え方の問題で虫歯や歯周病になりやすい場合などは歯を削って詰め物やかぶせ物を行うことで、きれいな歯の色合いを得ることや、清掃しやすい形態にして今後の歯の寿命を長くできる場合もあります。上に書いてある過去に治療した詰め物から虫歯になってきている場合なども、放置するよりは治療を行って清掃しやすい形にする方が、多くの場合お薦めになります。

◆それでも歯を削りたくない場合

薬剤の殺菌作用で歯にしみ込んだばい菌を殺菌するドッグベストセメントや3MIX、神経が露出した場合に神経を保護し、歯の壁ができるのを促すMTAセメントなど歯を削らない、もしくは神経を残す治療を行えば治療のために歯の寿命を縮めることを避けることは可能ですが、一番いいのは予防をしっかり行い、歯を削る機会をつくらないことです。

また、歯を失った場合に両脇の歯を削って繋ぐブリッジという治療法を行う場合、神経を抜いて歯をすべて覆うように被せる場合もありますが、歯の寿命を考えた場合、削る量を最小限にして歯をつなぐ接着ブリッジという方法もあります(歯のかむ部分と舌側のみ削り接着剤の強さで固定する方法)。

この方法であれば外側(唇・頬側の自分の歯は残すことができ、削る量もすべて覆う場合の20~40%くらいですむため、見た目もよく、歯の寿命も縮めすぎないで治療することが可能です。(欠損した歯の数や、残っている歯の状態によっては選択できません。担当医にご相談ください)

◆虫歯は自然に治る?

 
このことに関連して、しばらく前にメディアに流れていた、「虫歯は放置していても治る」ということを念頭に置いて歯を削らない方もいますが、これは大きな間違いです。正確にいうと、「穴が開くほどでない虫歯の場合は、口腔内の環境が整っていれば再石灰化することで回復する場合がある」です。

脱灰と呼ばれる歯の表面が酸で溶け白っぽくなっている状態は、口腔内が酸性に傾くことで起こり、唾液の感想作用によりアルカリ性に傾けば唾液中のリンやカルシウム分を補給することで半透明の健康な状態に戻ります。目で見える穴が開いてしまった状態から自然回復することは現実的に難しいです。

この脱灰からの再石灰化自体は非常にいいことなので、口腔内の清掃をしっかり行い細菌を減らすこと、口の中が酸性に傾く砂糖の摂取を控えること、酸を中和する唾液を出すためによく噛むこと、再石灰化を促すフッ素を使用すること、歯の成分を補給するPOS‐CAFやリナメル、MIペーストを使用することで脱灰の治療を行っています。

最後にもう一つ、これも上記の話と混ざって伝わっていることがありますが、「小さい虫歯は削らないで進行を止めることで歯を削らない」という方法はあります。 以前も少し触れていますが、これについてはまた後日書こうと思います。

歯の清掃率を簡単に向上させる方法。 え?お猿さんもフロスをするの?

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

院内で歯磨きについてご説明するときに必ずお話しするのが、歯ブラシ以外の歯間ブラシ、フロスを使って下さいということです。

歯ブラシがよほど苦手な方でない限り、時間(1回5分くらい)と回数(一日3回最低朝晩2回)を守っている方ならば、歯の汚れはある程度落とせています。しかし、歯ブラシで落とせる汚れは60%くらいだといわれています。歯磨きの上手な方、歯科医院でブラッシング法を教わって丁寧に歯磨きされている方はこの限りではないですが、60%から歯磨きのスキルを上げて清掃率をよくするのなら、フロスや歯間ブラシを使った方がよほど効率的になります。

音波ブラシや、ウオーターピックなど効果の高い補助器具はいろいろとありますが、コストが安く、すぐできて、効果が高いという点ではフロスが一番おすすめになります。歯間ブラシは歯周病の方にはおすすめですが、やりすぎると歯の間が傷がついたり歯茎の退縮を起こすことがあります。フロスも使い方を間違えば歯茎を傷つけたり、歯を削る危険はありますが、どんな方でもある程度使用可能です。
そして、フロスを使用することで、前述の清掃率は60%から80%に簡単に向上します。

フロスの使用で気を付けることは、歯の根元に沿わせてかきあげるように上に動かすこと、歯の側面をのこぎりで引くようにギコギコ動かさないこと(歯と歯の間を通すときに通りにくい時だけ前後運動してください)、力を入れすぎて歯茎に食い込ませないことです。

比較的容易に清掃率を改善することができるフロスですが、アメリカでは80%が歯磨きの時にフロスを併用し、スウェーデンでは50%、日本では20%の使用率です。
「虫歯になりやすい」、「歯磨きが上手にできない」という方はまずフロスを使用してはいかがでしょう?フッ素をしみこませたフッ素入りフロス何てものもありますよ。

これは2009年の記事ですが、カニクイザルの母親が、子ザルにフロスの使い方を教えている動画です。

タイの野生のカニクイザルが人間の髪の毛を数本よりあわせてフロスを作り、歯磨きに使っていたそうです。
そして、子ザルにフロスのやり方を教えるために、自分で使用しているときよりもゆっくりと、大げさにフロスを使っているところをみせていたということです。

野生のサルが保証するフロスの有用性!? 
皆さんもぜひ使ってみてください。




歯ブラシ専門店で売上一位 歯が白くなる歯磨き粉 ルシェロホワイト

こんにちは、あきる歯科の濱窪です。

「歯医者さんお薦めの歯磨き粉は?」と聞かれることがありますが、年齢や目的によってお薦めの歯磨き粉は変わります。

低年齢でまだ自分で磨けない2歳くらいまでのお子さんには「レノビーゴ」
小児で歯磨きの癖をつけたい場合は、ご褒美としても使えるフレーバーの豊富な「チェックアップジェル」
フレーバーがなくても歯磨き粉を使えるようになれば泡タイプで歯の隙間にも届きやすい「チェックアップフォーム」
大人で歯周病予防と虫歯予防をしたいならば「コンクールジェルF」
虫歯や歯周病の心配がなく、その前の歯の脱灰が気になる方には「MIペースト」などがお薦めになります。

もう一つ、「歯を白くする歯磨き粉はないの?」と聞かれることもよくあります。

こちらに関しては、市販の歯を白くする歯磨き粉は、研磨剤の量が多く、歯を削ることで白くしているものがほとんどで、
歯科医院としてはあまりおすすめできないことをお話ししていましたが、この冬から発売された「ルシェロホワイト」は
研磨ではなく弱アルカリ性成分で歯を白くする歯磨き粉で、歯を削るわけでないのでお勧めできるようになりました。


実際に、当院でも販売後すぐ品切れになりました。

この「ルシェロホワイト」は銀座の歯ブラシ専門店メガデントの歯磨き粉売上一位だったことが、1月22日のフジテレビ「バイキング」で
紹介
されました。

歯の着色が気になるけど、ホワイトニングまでは・・・という方は一度使ってみてはいかがでしょう?
販売価格は1800円です。

チョコを食べて虫歯予防 歯医者さんの作ったチョコレート販売中

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

虫歯予防をチョコレートでやろう!というキシリトール100%チョコが発売されたのがもう10年以上前になります。テレビや雑誌にも何度か紹介されているのでご存知の方も多いと思いますが、チョコレートで虫歯予防をすることができるんです。

簡単に説明すると、
虫歯は、虫歯菌が砂糖を餌に酸を出すから起こる
            ↓
甘いけど砂糖ではないキシリトールを食べても虫歯にならない
            ↓
キシリトールをなめて唾液が出ると歯は再石灰化しやすくなる(予防効果がある)
            ↓
虫歯菌の餌にならないキシリトールを食べていると虫歯菌が減少する可能性がある
ということで、キシリトール100%のお菓子には虫歯の予防の効果があるといわれています。
詳しくは以前のブログ「キシリトールの予防効果のお話」で効果やコクランレポートの内容について触れています。

バレンタインも近くなりましたので本日から、受付で「歯医者さんの作ったチョコレート」「歯医者さんの作ったホワイトチョコレート」「歯医者さんの作った棒キャンディ」を販売しています。



気が付けばこのシリーズも知らないうちに抹茶カテキンチョコとか、グミとか、玉チョコやらサイダーまで出てきてます。
難しく考えずに、おやつ食べても虫歯にならないならキシリトールにしようかくらいで、お子さんのおやつに使ってもらうといいうと思います。詳しく聞きたい方は院長までどうぞ。量を食べるとおなかが緩くなるのにはご注意ください。


現役歯医者さんが歯の疑問ついて答える 「教えてデンタルドクターズ」

こんにちは、あきる歯科の濱窪です。

あきる歯科のネット予約を取るために「EPARK」というサイトを使用されている方もいると思いますが、この「EPARK」には近隣の現在空いている歯科医院を教えてくれたり、歯の悩みを相談する「教えてデンタルドクターズ」という項目があります。

僕も毎日確認して、未回答の質問があればできるだけ回答するようにしています。
こちらのサイトでは、色々な先生が回答してくれますので、1人だけでなく様々な意見を聞くことができます。治療でお悩みの方にお役にたつかも知れません。

また、この回答からの縁で、「歯の教科書」という歯の治療方法の比較や、料金、身近でできる対策などについて説明しているサイトを、あいび矯正歯科の三宅先生とともに監修してますので興味がある方はご覧ください。 


予防の神様 熊谷崇先生が発信する予防歯科 

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

歯科では特に近年予防に力をいれており、予防の内容もずいぶん変わってきました。
〇虫歯のリスクがどれくらいあるかの検査による個人個人のリスク判定
〇フッ素の使い分け
〇3DS(薬剤をマウスピースに入れたものを装着して歯の周囲の菌を減らす方法)
〇シュガーコントロール
〇キシリトール100%のガムやチョコ等々
皆さんどれくらいごぞんじでしょう? 


 今週の1/28に、カンブリア宮殿という番組で、予防歯科で有名な日吉歯科の熊谷崇先生が出演します。
歯 科界では予防の神様とも呼ばれる有名な方で、SATという歯科医師向けの講習会も主催しており、僕の同級生も参加して、「日吉のスタイルで治療したい」とずいぶん感銘を受けてい ました。日吉歯科の予防プログラムの内容については臨床の達人シリーズとして出版もされており、僕自身もずいぶん参考にさせていただきました。

「臨床の達人シリーズ」の熊谷先生の言葉を一部抜粋すると、

治療前の検査に関して
「カ リエスリスクを判定することでハイリスクかローリスクかをまず知ることができます。ハイリスク者の場合は何が問題なのかを分析してリスクコントロールのた めの計画を立てて実践することになりますが、その時大切なことは患者さんが実行可能な治療計画を立てるということです。ローリスクの人は定期的にPMTC を受けるくらいでいいわけです。」

日吉歯科で行っている患者セミナー(初診前の患者さんに対して行う歯科医師、衛生士のの役割や、歯の病態、メンテナンスによりどれだけ歯の寿命が延びるかなどのデータを用いた説明会)について話した後
「マスコミが正しい情報を流さないという側面もあります。たとえば週刊誌などにフッ素は毒と考える人の一方的な意見が載る。こうしたエビデンスの無い情報をいとも簡単に流してしまう背景が問題です。」

リスクコントロールの一つとして食事指導に対して
「飲食回数については、とにかく1日5回くらいまでは許容範囲としています。ただし寝る前に食べるのをやめる。飴をなめるのもやめる。おやつの時間は食事と食事の間にうまく設定する。甘いものはデザートとして食べれば毎日食べても問題ない。」
「だ いたい、甘いもの好きでたくさん虫歯になってしまった子どもに甘いものを食べるなと言って守れるわけがありません。禁止するのではなく、食べ方を教えた り、手入れの仕方やフッ化物の使い方を指導したり、定期的にチェックに来てメンテナンスすることを約束させた方がいいわけです。」

虫歯のリスクが高い時の対応策の例として

「た とえば、ミュータンス菌(虫歯菌)の質と量を変える必要なある場合、キシリトールを1日4~5回接種してもらうと半分くらいの人でミュータンス菌が減少 し、プラーク形成能も落ちます。キシリトールガムをかむことで唾液分泌量も増えるので再石灰化にも期待が持てるなどいい面を利用することができます。ま た、3DSという選択もあるでしょう。」

SOT(治療が終わった後の、メンテナンスまでの期間)について

「治 療が終わって快適になると、もう治ったと思うのですね。『治ったのではなくて、コントロールしなくてはならない病気なので、定期的に繰る必要がある。』こ とを治療たび、あるいは予防のたびに話すけど体験したことがないからどういうことがメンテナンスかわからないわけです。けれども1か月くらいならまた来ま すので、初診時と治療時のデータに関してもすべて説明してこういった状態を維持するためにはあなたは3か月ごと(患者さんによって違います)に来てメンテナンスをする方が有利だと伝えます。」

どうでしょう? 歯磨きとお掃除だけでない予防歯科の一面が少しでも伝わったでしょうか?

リスク検査や食事指導はあきる歯科でも開始する予定です。
キシリトールや3DSは現在も行っています。

治療後のSOTに関しては、患者さんの状態をみて案内していますが、これがあるとないとでは次の検診のときの状態が結構違います。これは、患者さんにとってもすごくいい時間だと思います。

また、この本には載っていないですが、軽度の虫歯でも現状維持が可能なら削らないで経過を見ていくというのも最近の歯科の考えの一つにあります。熊谷先生もよくこのことについてお話しされています。小さいお子さんで治療が難しいために十分な治療ができない場合などは特に、削るよりも、軽度であればフッ素や、虫歯の穴の封鎖、食事指導で経過を見た方がいいケースが多いです。

このあたりのお話も出るのではないかと思います。番組がどのような内容かわかりませんが、予防の取り組みについて知る良い機会になることは間違いないので皆さんもぜひご覧になってください。

待合い室掲示物 更新

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

待合室の掲示物を更新しました。 
1年前に予防特集から、日本人の歯の寿命を長くする会のお話に張り替え、今回は治療説明関連で、いろいろな治療を紹介しています。

 

こちらは生体シリコンを入れ歯の裏側に張り付け、痛みが出ないようにしている入れ歯
コンフォートのポスター。



いろいろ変わってますのでご覧になってみてください。

イケメンドクター 「頬ポン」の新井先生涙活中  

こんにちは、あきる歯科の濱窪です。

今週発売の「女性自身」1月26日号に、「涙活」の一環で勤務医の新井先生が登場してます。



相変わらず甘いですね。



新井先生が個人的に行っている活動なので僕は現場を見たことはないのですが、
ちょっと見てみたいかも(そして後で冷やかしたい)



 基本的に真面目でシャイではにかみ屋の印象の新井先生なんですが、こんな活動もしています。
顔が院長室にいるときと違う・・・。

勤務医の意外な?一面紹介でした。

重度の歯周病の場合 治療法

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

前回に引き続き歯周病のお話です。

 重度の歯周病の場合は、歯がぐらぐらする、歯茎が腫れる、においがする、 重い感じやうずく感じがする等の症状が出ていることが多いです。これは、本来歯にくっついている歯茎がはがれ、歯と歯茎の間に隙間ができている(歯周ポ ケットといわれる歯と歯茎の間の溝)部分にばい菌がたまり、歯茎の中に隠れているために歯ブラシが届かずばい菌が繁殖していることが原因です。

下図でいうと、プロフェッショナルケアで対応する部分には、歯ブラシが日常届いていないということです。




 歯周病の治療は、溶けた骨を完全に回復させることは難しいため、歯茎の腫れを抑え、場合によっては外科手術で肉芽を切除したり、歯茎を切って自分の歯ブラシでお掃除できる状態に戻すことが目標になります。

 重度の歯周病の場合の治療は基本的に歯の周囲のお掃除を行い、中等度の歯周病と同じように、見えるところのお掃除、歯茎の中に隠れている部分のお掃除を行い、それでも届かないほど骨が溶けている方は、外科手術を行うことになります。

 この場合もセルフケアを徹底的に行い、平行してプロフェッショナルケアを行うことで、手術なしでも改善する場合はありますが、少しづつ歯茎の状態を改善していくため時間がかかります。

 また、根が複数ある歯の場合、歯を支える骨が溶けることで、根と根の間の部分がまったく磨けない状態になってしまい、通常の外科手術でも治療が難しくなってしまう場合があります。

 下図のような状態の場合、根と根の間のスペースは、仮に歯茎の腫れが落ち着いたとしてもセルフケアできれいにしていくのは難しいです。実際は下図と違い歯に奥行きがあることや、根の間の部分に器具を入れることが難しいからです。


 この場合は、歯を分割したり、悪くなった根の部分を1本抜くことで清掃性をよくすることもあります。
無理をして歯をすべて残すよりも、手入れを簡単にできるようにして残った部分を長く使えるようにすることが大事なこともあるということです。

 もちろん、残せるのなら残した方がいいのは間違いないので、歯周病の傾向がある場合は進行する前に歯科医院で診てもらいましょう。


歯医者がすすめる歯周病の治療 軽度の場合、中等度の場合

こんにちは、あきる歯科院長の濱窪です。

 歯周病は、テレビやCMでも耳にすることが多くなり、それなりに知識を持ってる方も多いと思いますが、やっぱりまだまだ
知られていないことが多い病気です。昔は歯槽膿漏とも呼ばれていました、これは、歯周病が進行して歯茎から膿が出る状態を指しています。

 単純にお話しすると、歯周病は、歯の付け根や歯と歯の間にたまった食べかすからバイ菌が繁殖し、そのために歯を支える骨がなくなってしまうという病気です。歯周病の困った点は、症状が出にくいため自覚できずに進行してしまうことと、気が付いた時にはある程度進行してしまい元の健康な状態に戻せなくなってしまうという点です。

 そのため、進行させないための予防が非常に重要になります。今の歯科医院の多くが、検診を3か月から半年の間隔でお薦めしているのは、この予防を行うためという点が大きいです。

 初期の症状としては、歯磨き時の出血や、歯茎の発赤、腫脹(歯の付け根が赤くなったり、腫れぼったくなっている状態)がありますが、痛みや、明確な腫れといった症状が出ないため、なんともないよとそのまま放置してしまっている方が多いです。この状態であれば、超音波によるお掃除や、機械のブラシによる清掃で改善することが可能です。歯磨きで出血する方、歯間ブラシを通すと出血する方、リンゴなどをかじると血が付く方、見た目で歯ぐきが赤い方、歯間ブラシやフロスを通すと臭いがする方は要注意ですので歯科医院で検査することをおすすめします。

 中等度以上になると、歯茎がうずいたり、見た目で分かるほど腫れたり、独特の口臭がにおう様になります。自覚症状が出始めるので、このあたりで歯科医院に来院する方も多いと思います。ただし、中等度となると、歯を支える骨が溶けてしまい、完全に元に戻すのが難しくなります。この状態での治療も基本的にはお掃除になりますが、初期の場合と違い歯茎の中に隠れている部分のお掃除が必要になるケースが出てきます。
 この段階での治療の目標は、清掃により炎症を抑えて、歯茎の腫れを小さくし、歯茎に隠れてしまっている自分で磨けない部分の歯石やばい菌を除去し、自分で歯磨きすることで汚れを落とせる状態に戻すことになります。もちろん、骨がなくなった分歯茎のラインは下がりますので見た目は歯が長くなったように感じられることもあります。また、歯が根元まで露出することにより、歯と歯の間の隙間も大きくなります。

 中等度の歯周病のお掃除は、ばい菌の住処になるとはいえ、歯の表面に壁のようについている歯石を除去することになるので、器具をあてることによって痛みが出るため麻酔が必要になる事や、歯石がなくなることで歯がしみることがあります。痛いのが嫌だから、歯周病の治療に行かなくなったという方も多いと思います。しかし、お掃除をしなければ結局ばい菌が繁殖して歯周病が進行し、より歯ぐきが腫れてしまったり、歯がぐらぐらして抜けてしまうという状態になってしまいます。
 この段階では、1回のお掃除だけでは除去しきれないため、歯茎の上の見えるところのお掃除と、歯茎の中の隠れている部分のお掃除と回数を分けてお掃除を行うことになります。

 痛いのが苦手な方は、時間と回数をかけて清掃を行うことで痛みを少なくして炎症を改善する方法もあります。
当院で行っているスウェーデン式の歯周病治療では、痛みを少なくして治療を行うことも可能なのでご希望の方はお声掛け下さい。

 歯ブラシでは、歯茎の中を完全にきれいにすることは難しいですが、ブラシが届く範囲の汚れがきれいになれば、10日ほどで歯ぐきの出血や腫れは落ち着いてきます。そうすると、引き締まった歯茎の中にアプローチしやすくなりますので、届く範囲でお掃除をしていけば徐々に歯茎は引き締まり、届かなかった深い歯茎の中の汚れをとれるようになります。もちろん歯科医院でのチェックや、歯ブラシが届かない部分の清掃、磨き方の指導を受けながらセルフケアを行っていく必要があります。

 重度になるとセルフケアだけでなく、手術が必要になるケースも出てきますので、これについてはまた別にお話ししようと思います。

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